金型メーカ訪問記 -1-

YJS・渡辺利広

− (有)クドー精工様
 今回より数回にわたり、YJSのCAD/CAM等のコンピュータシステムをご利用されている金型の設計製作メーカを御紹介致します。まず、記念すべき第1回は福島県福島市にて精密プレス金型の設計製作を行ってみえる(有)クドー精工様を御紹介致します。現在、クドー精工様は福島市内にありながら、梨畑に囲まれた静かな環境に工場を持たれ、社員30名(内設計担当6名)で、マシニングセンタ3台、WEDM 11台、CAD/CAM(2M/R、2M/X)7台、治具研/治具ボーラー各1台の設備を保有されていて、精密電子部品用の順送金型を主に生産されておられます。
社長の工藤勝重様にインタビュー致しました。


< 渡 辺 >
金型メーカを始められたきっかけは?

< 社 長 >
独立する前は、大手電機メーカの金型部に在籍し、30才になったら独立すると決めていました。学歴がなかったため、うでで食べていこうと思い会社を起こしたわけです。22・3の頃、技術検定で金賞をとったこともあり、自分の可能性をためしてみたかったですね。

< 渡 辺 >
始められた頃はどうでしたか?

< 社 長 >
S47に会社をはじめました。当初の設備は、研磨とセーパーを購入し、旋盤とトライプレスは長期の分割で購入。フライスは借用していて、初めは牛小屋の中で加工を行っていました。はじめた年には、放電加工機を購入し、 2年目には、2100万円のJ社のWEDM(L250-3E)と自動プロを購入しました。

< 渡 辺 >
マシニング(MC)を導入した頃はどうでしたか?

< 社 長 >
WEDMを導入してまもなく、三井精密のMCを導入しましたが、初めはひどかった。大卒のオペレータにMDIでプログラムさせていたが、夕食を食べていると“ドーン”という音がしてよく機械がこわれてしまったものです。
当時、金型製作にMCを使用して穴開けを行っていたのは少なかったから、人に笑われたものですが、将来は、穴開け等はMCで無人運転をすべきだと考えていました。

< 渡 辺 >
それでCAD/CAMを導入しようと考えられたわけですね。

< 社 長 >
初めは、自動プロPC98で自社で作成しようと考えたわけですがCAD/CAMを3000万以上投資して導入しました。当時、WEDM、MC、CAD/CAMで1億の資金を県の近代化設備貸与より融資を受けたわけですが、CAD/CAMとMCがなかなK立ち上がりませんでした。CAD/CAMの試行錯誤を重ね、MC加工がやっと軌道に乗りました。
MCによるプレート加工はそれまでの金型の製作に変化が現れました。
会社設立当初より作業の分業化を進め、今でも設計、MC加工、WEDM加工等の専業化がよかったと思っています。
今では、パレチェン付MCで、8枚のプレートの連続無人加工を行い、今年導入した大型MCではダイセット等の大物加工を行っています。

< 渡 辺 >
これからの金型メーカはどのようになっていくと思われますか?

< 社 長 >
中国などアジアの国々と競合しない金型を作成し、かしめ等の複合型等をできる高度な金型技術力の向上はもちろんの事、発注してくれるメーカが望んでいる事に対し、納期、精度等を正確に応える事などが重要だと思います。
設備はある程度設備してしまっているため、将来がみえない感があります。それでもWEDMに関して言えば、パレットチェンジャーによる連続無人加工や段差のある材料の高精度な加工等に興味があります。
工藤社長
工藤社長

製品サンプル
製品サンプル

CAD/CAMルーム
CAD/CAMルーム


ワイヤカットルーム

工場から見た吾妻小富士
工場から見た吾妻小富士
< 渡 辺 >
最後にこれまで順調にやってこられた理由は何だと思われますか?

< 社 長 >
それは、節目々にいい人材に恵まれ、いろいろな人に助けられたことだと思います。
それとかみさんと家族の協力なしでは考えられなかったですね。

< 渡 辺 >
ありがとうございました。

取材を終えて印象に残ったのは、工藤社長は『今まで全力で突っ走ってきたので、誰かに任せてのんびりしたいなぁ』ともらしてみえたのが本音のような気もしますが、そうは言ってもこれからも社員の皆さんと強いリーダーシップのもとに、社長の会社のみならず日本の金型産業を引っ張っていかれると思います。
 精密順送金型の強力なノウハウを生かし、これからも益々、ご発展されることを祈念し、第1回の金型メーカ訪問記を締めくくりたいと思います。

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